斎藤 健 著

四六判 上製本 定価(本体2500円+税)

 

 

歌集名の『宿題』は「将校の馬の餌にする草を刈れ非道の夏の宿題なりき」と「宿題を完成せずに八十年提出するとき命終るか」の二首に拠る。戦時下の人間の尊厳を踏みにじる非道の数々。そして今、自らに課している宿題は、人間の尊厳の守られる世を目指して出来る限りのことをすること。

 

この歌集に収められた歌は、生い立ち、家族とりわけ亡き妻、それぞれの時代の仲間、私の周りの自然、ささやかな家庭菜園、そして移り変わり、時の政治、経済、社会に対する批判、抵抗、時には怒りも込められています。歳の割には生臭い歌もありますが、正直に主張し続けた私の抒情歌です。

(「あとがき」より)