碓田のぼる 著

四六判・上製本

私が、妻を詠んだ歌を1巻にまとめたいと思い出したのは、かなり以前の現職の頃からで、妻が十分健康な時代であった。しかしその頃は、私が多忙すぎて、その企ては、頭の片隅に次第に追い込まれてしまっていた。・・・この歌集に編集して収めた作品は、私の20歳から85歳までの期間につくったものであるから、選ぶのにそれなりの苦労があった。私は、妻が先立ったとしたら、その後に歌集を出すことはいやだった。また、妻のうたをまとめもせずに私が先立つのは、歌よみとしてかなわないことだと思った。
妻をうたい、子らをうたうことは、私にとっては、社会や政治、自然をうたうことと一つのものであった。私の感性もそのように働いている。
(本書/あとがきより)