著者:谷口一男
四六判上製
発行:2008年12月20日
昔語りになった板金や溶接工の職人仕事。労働は人の関係を作り、明日を語る。「満鉄」信号保安手の体験、妻への鎮魂、子へのいとおしみ…、九篇の小説世界は小さく大きく歴史を映す。――生活体験を大事にしながらその現実をすくいとり、頑固にひた向きに自らの文学世界を作り上げてきた…谷口の真摯さはそこにある。けっして器用ではない、むしろ不器用であるその文体に私は好感をもつ。そこに書かずにはいられなぬ強い思い、谷口の文学精神を感じるからである。(宮寺清一「解説」より)