民主文学館
小林多喜二の文学と運動

大田 努 著
四六判上製 232頁 
定価(本体1,429円+税)
ISBN978-4-87662-541-3

現実の中に明日へのきざしを見出し、
向上を求めて止まなかった多喜二文学の新しさ。
編集者として研究者として、
多喜二を熱く見つめつづけた著者が、
最新資料を使いつつまとめた
初の評論集。

「蟹工船」の特色は、時代や社会をリアルに描こうとしただけでなく、抑圧を受ける人々の、たたかいをと

おして成長・発展するプロセスを描こうとしたところにもあります。
……多喜二が抑圧されるものの成長・連帯を確信し、それを描きつづけようとしたことは文学の存在意義に

対する回答の一つでもあったと思います。
(「あとがき」より)

本書の内容
?
投稿時代の小林多喜二
「一九二八年三月十五日」の新しさ
「蟹工船」の現代性を考える
経済恐慌下のたたかい――小林多喜二「工場細胞」
新発見の肉筆原稿から見る「工場細胞」の改訂
プロレタリア文学運動上から見る多喜二奪還事件
非合法時代の遺品から見る「転形期の人々」の意味
未発掘の「赤旗」短篇小説のこと
小林多喜二の反戦・平和文学
小林多喜二の全著作はどのようにして復原されたか
?
宮本百合子の時代と思想形成
――全集完結にあたって
今日につながる「監房細胞」の積極性
関東大震災とプロレタリア文学運動