青木 陽子 著

B6変形判 並製本  定価(本体1300円+税)

名鉄有松駅近くの丘陵地帯にあった捕虜収容所に関する史実から、青木陽子が抽出したのが、人間の尊厳、人間の開放を本格的に意味するヒューマニズムである。

ヒューマニズムの具体的な在り様が、敗戦間際のこの国で、日本の医師秋月哲三と捕虜の軍医クラーノとの間に結ばれた<同志愛>であった。指輪と賭け軸のエピソードに加えて、秋月がBC戦犯に問われなかった理由に、作者は<同志愛>の発露を見出している。         (松木 新「解説」より)

※併載「紫陽花」「揺れる海」「口三味線」