分水嶺
著者:能島龍三
(「民主文学館」:
 編集・発行 日本民主主義文学会  発売 光陽出版社)
四六判上製
発行:2006年10月25日
少数のたしかな作家たちのものを除けば、最近の一般文芸誌にあらわれては消える小説の多くには、倦怠と無気力、性と人間存在との嗤いたくなる軽さ、そこから滲み出ているとめどない不安など、いくつかきまりきった主題の、それも奇を衒ったさなざなな変奏があるにすぎない。それは、今日の時代における不毛な足踏み以上のものではないだろう。その状況にあって、能島龍三ら民主主義文学の作品には、人間の歴史を信じて生きていく意志が濃厚である。そこに文学の未来もあることは明らかだろう。 解説・小林昭